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「絶対に許さない」

  • Yukiko Ishii
  • 8月29日
  • 読了時間: 5分

更新日:9月18日

許さない

「絶対に許さないこと」=「絶許」なんてネットスラングがあるんだね。

おばちゃん、知らなかった。


人は納得したい生き物なのだな、と度々感じる。

納得できないと、そこから離れることができない。もしかすると感情に限らず、知的好奇心や探求心も、元はといえば納得したい欲からはじまっているのかもしれないと思ってしまうほどだ。


私は保育園で働いていた時、とても嫌だったことがある。

保育士「Aちゃん、Bくんにごめんねして」

Aちゃん「ごめんね」

Bくん 「いいよ」


このやり取りを子どもにさせることが正しいのか?

目にするたびにいつも叫んでいた(心の中で)。

Bくんの怒りに目を向けず、目に涙をうかべているBくんに保育士が「いいよ」と言うように促し、短時間で丸く収めてしまう。こんな「仲良しごっこ」に何の意味があるのか、大変、大変、大変、疑問だった。


つい、熱くなってしまったけれど、果たして怒りは悪なのだろうか? 私はそうは思わない。

先の例に出した保育園での一場面、小学校や中学校、世の中は近年特に個人の「怒り」を厄介扱いし、否認する傾向が強いように感じている。対して、何を言われても感情的にならず、反論せず、穏やかに従う子を「良い子」として優遇してはいないだろうか。


「怒り」は自分の尊厳を守るものだと思う。自分の領域、大切なもの、権限、主張などが傷つけられそうになったとき、怒りが生まれる。そんなときは怒っていい、いやむしろ怒らなきゃいけない。


ただここで「怒り方」というのがちょっと難しい。いきなり泣きわめく、床に転がって3回転半、地団太を踏む、これも怒りの表現。乳幼児までなら許される手段かと思う。小学生くらいからは「それは(されて)嫌だった」と声に出せると良い。でもこれも予定調和の空気の中ではとても勇気がいることだよね。学校で言えなくても、後で友達と話したり、家に帰ってお母さんやお父さんに言えたら素晴らしいと思う。ここで何が一番大切かっていうと、自分自身が(嫌だった)という気持ちをなかったことにせず、ちゃんとわかっている、認めているということ。


嘘だと思われるかもしれないけれど、この世界には嫌なことをされても自分の嫌だという気持ちに気が付かない人もいる。自分が嫌だと気が付かないのなら、それは嫌ではないのでしょう?と考えるかもしれないけれど、そういうことでもない。それはどういうことかというと(自分は嫌なことをされても仕方がない人間なんだ)と子どものころから思い込んでいるから、嫌な目に合っても怒りがわかず、受け入れてしまう。自分が嫌だった気持ちを認めない。そういう人は当たり前すぎて気が付かないうちに、緊張して心身を強張らせて生きていて、なおかつそんな自分に気が付かない。じゃあ、どうして気が付かないのにそんなことが言えるのかって、思うでしょ?それはね、自分の我慢に気が付いて緊張が取り除かれたときに、初めて気が付くんだよ。失ってから気づく、ということかな。


だから、話を戻すと、自分自身が自分の(嫌だった)気持ちに気が付いて、その気持ちを大切にするというのは、自分を大切にすることでもある。これも意外かもしれないけれど、自分の怒りを知っている人は、ちゃんと他人の怒りも受け入れられるようになる。


でも、怒りの取り扱いで一つ気を付けなければいけないのは、ときどき、勘違いとか思い込みとか、自分の我慢が怒りに上乗せされて、もの凄いごつ盛りエネルギーになってしまうことがあるということ。これは自分の内面でぐるぐると渦巻きながら大きく膨らんで、一触即発で爆発するのを待っている。だけど、そんなときはちょっと待て!!そんなときだからこそちょっと待ってほしい。これをそのまま大爆発させてしまうと、色々なもの(人間関係や信頼などなど)までをも破壊してしまうことになる。きっとそれは本意ではないだろうし、あなたの純粋な怒りは周囲から理解されなくなる可能性が高い。あまりにも大きな怒りには複数の要素が絡み合っているということ、そして純粋な怒りからはかけ離れがちになることを思い出して、ここは怒りの因数分解をしてみよう。いったい何と何が混ざっているのか、大抵のはじまりには理解されなかった悲しみが核となっているけれど、そこに絡まった諸々をほどいて、まずは自分がそもそも何に怒っていたのかを思い出したほうがいい。


上手に怒るコツとしては、怒りはできるだけ我慢せず、ため込まず、小さいうちに(純度の高いうちに)処理することをお勧めする。

そんな中で、納得できる怒りと、どうしたってなんだって納得できない怒りがあると思う。一番最初の「絶許」というやつね。(早速使いたい人)

「絶対に許さない!」生きていればそれもありだと思う。だって、私が、絶対に、許せない気持ちなんだもの。心が狭いとか、根に持つタイプとか、人の気持ちに勝手に口出ししてくる他人がいるかもしれないけれど、自分の気持ちは自分のもの。怒りは時間が経つうちに(あの時はなんであんなに怒っていたんだろう)と変化するかもしれないし、そうはならないかもしれないけれど、逆に「絶対に許さなきゃいけない」なんてルールはないのだから。

みんな、怒ってもいいんだよ。


あぁ、それでも一人では手に負えないときには、心理カウンセリングをおすすめするよ。


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